Happy Going
見た作品紹介や日々思ったことなどをつづった超不定期ブログ。時々小話(短い小説)も。管理者はオタクです、多分。

 

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【オリジナル】とある日の祭りの騒動

ハロウィンネタで絵が描けなかったので、小説でも。
オリジネタです。若干ファンタジー。
山もオチもない。ハロウィン(と似たような祭り)を楽しんでるだけのお話。
即興すぎるので、地方名とか後々変わりそうです。
っていうかいつか書き直すぞ。即興すぎてなんかおかしい(苦笑

 普段は近寄ることも稀であるティアヴェヘル領の主都。
 今日はわがまま女王こと、俺の主であるレジーナ・オムネース・サンギネウム様の外遊の護衛――というなの荷物持ちのために来ているわけである。
「ファイ!今年もあのパイが売ってるわ!」
 そう言ってレジーナ様が手を引っ張っていったのは俺と同じく護衛として付き添っているファイだ。こうして見るとどうも年の離れた兄妹にしか見えない。というか、同じ護衛なのにやっぱり待遇が違いすぎる。
 レジーナ様(っていうかこんなところまで様つけると疲れるんで、以下様付け省略)はまだ少女、ヘタをすれば幼女ともとれる年の女の子にしか見えない。しかし実はとてつもない少女なのである。
 こう見えても年は九十を越えおり、人間ではなく魔族、しかも王族と呼ばれる存在。本当に魔族を統べる王なのではないが、魔族を統べるに値してもいい能力を持っている。詳しいことは今話せる状況ではないので伏せさせて頂きます。
 まあ、そんな存在であるレジーナが、何故魔族を嫌っている人間の街を堂々と歩いてるんだって話ですよね。いや、実際俺が見てもレジーナは人間の女の子にしか見えません。特に今なんか、お祭りに合わせて仮装をして(なんでも、人間のおとぎ話の少女の格好なんだとか)頭巾ですっぽりその銀髪を隠しているから余計にそう見える。
 ――そう、お祭り。今日レジーナが俺達を連れて街に来たのはそれが目当てだ。
「喜べ、犬。今日は特別に、人化を使わなくてもいい場所に連れて行ってやる」
 そう言いつつも半ば強制的に連れてこられました。
 俺の名前はハオラン。人間の耳の変わりに狼の耳、そして尻尾が生えている正真正銘の人狼である。


 街は今、奇妙な飾りと奇妙なランタン(俺の里のある地域でいうところの提灯)の橙色の光に包まれ、人間の街とは思えない光景になっている。
「今日は『紛い夜(まがいよ)』と呼ばれる祭りだ」
 レジーナは先ほど露店で買ったパイを食べ終えたのか、唐突に口を開き、俺の腕についている手枷(これも仮装と称して付けられたものだ)を引っ張った。
「明日が人間の先祖の魂がその家に一日だけ返ってくる日らしく、それを迎えるためのものだ」
「はぁ……でも、なんでこうみんながみんなして魔族やおとぎ話の人物の格好をしてるんですか?」
 レジーナもそうだが、街の人、特に子供は人狼から吸血鬼、包帯男、ニンフ、サキュバス、中にはチビっこ銀剣聖騎士――銀剣というのはこの辺の諸国を牛耳ってる人間の宗教ってやつだ――もいたりと様々な仮装に身を包んでいる。ファイも仮面と黒マントを付けさせられている。普段人化の術で耳と尻尾を隠している俺が隠さずに歩ける理由はこの仮装のおかげだろう(手枷はレジーナのいつもの俺に対するいじめだが)。
 俺の生まれはここより東にある山脈を越えたところにある国。山脈で隔てられているせいか、全くといっていいほど文化が違う。なのでこの祭りのことも全然知らないのだ。
「一説によれば先祖の魂が来る前に、魂を食う魔族に先祖の魂を食われないよう魔族に菓子を食わせて魂を食えないようにする。または魔族を近寄らせないよう脅す祭りらしい」
「明日は死者を復活させるにはかなり良い日らしいぞ」
 嘲笑するかのようにレジーナが一言足した。思わず、とある知人のことを思い出して俺は身震いした。
「魔族に扮する、死を祭る、などの理由があるからな。祭りをする街は銀剣に警告される。特にティアヴェヘルは祭りの意味も違うということから毎年かなり警戒されている」
 ファイが露天の隅を目配せした。その方向を見ると明らかに祭りの雰囲気に全くなじんでいない人間が突っ立っている。よく見れば所々にそんなに人が見受けられる。銀剣の派遣兵、もしくは過激派の貴族の私兵と思って間違いないだろう。
 銀剣はここ数年、魔女狩りと称して魔族に関わる者をことごとく処刑している。街の所々に銀剣の兵士達がいるのは、この祭りに乗じて魔族、あるいは“魔女”の逃亡を手引きする者達を取り締まるためだと予想できる。ここティアヴェヘルは銀剣の影響下にある周辺諸国の中でも魔族に対して穏健的な姿勢を見せているため、尚のことだろう。
「大方今年こそ、私と領主の繋がりを掴もうとしているのだろうな。“魔女”騒動もあったことだし」
 まるで他人事のようにレジーナは言う。街に来たときの口ぶりから、毎年この祭りにはきているのだろう。それに加えて今の言葉だ。レジーナがこの祭りに来ていることは筒抜けなのをレジーナ自身も気づいているようだ。ただ、何もされないということは、相手がどの子がレジーナだか分かっていないのか、あるいはいつものように手を出せないのか。
 いずれにせよ、なんというか、せっかくの祭りが台無しになる話である。
「そういえば、ティアヴェヘルでは祭りの意味が違うって言ってましたけど」
 俺も祭りは好きな方だ。荷物持ちとはいえ折角こうやってきているのだ。嫌な話はさっさと終わらせたかった。
「何も返ってくる魂は人間だけではない、ということだ。東方の文化のお前なら分かるだろう?」
 レジーナはそう言うと何やら見透かしたような目で嬉しげに微笑んだ後、何事もなかったようにまた露店へと走っていった。
 俺の故郷の草原にも先祖の魂を迎える日がある。その日には特別なかがり火を門のように立て、ツォウディアオという鳥の羽根の飾りを頭に付けた人がかがり火に火を灯す。でもそれは魔族だけでなく人間も行う。
 死んで草原に還る時は魔族も人間も関係ない。だから魔族も人間も同じようにその日を迎えるのだと、じっちゃんから聞かされた。
 ティアヴェヘルでもそうなのだろうか。
 気が付けば俺だけ置いていかれていたようだった。レジーナとファイは大分奥の方に行ってしまっている。こういう時、身長が高いファイは見つけやすいので助かる。俺は人狼だから鼻がいいのだが、お菓子に使われているハーブのせいなのか、利かない状態だからだ。
 すぐさま追いつこうと人ごみをかきわけようとしたその時だった。
「うわー!すっげー!ホンモンみてぇー!」
「なぁなぁにいちゃん、それ何で作ったんだー!」
「ふさふさー!」
 気が付けば子供数人に囲まれていた。しかも尻尾に触ってくるしまつ。
「ちょ、ちょっと……!」
 子供達の声に気づいた銀剣の輩が何やら俺を見ている、というか近付いてきている。
 まずい、ヤバイ。しかし逃げ出そうにも子供を突き飛ばしていくことはできない。余計に自分が魔族ですって言っているようなものだ。
 ファイの姿もわずかに確認できるぐらいまで遠ざかってる。
 ここでバレたらどうなるか――
「路地―で対象――したぞ」
「何っ!」
 後ろから来た別の男がやってきて、俺に向かっていた男に耳打ちした。
 男達は俺なんか最初から目にかけてなかったかのようにその場から離れた。
 子供達もその不審な男達に気を取られていたので、逃げるのは今しかなかった。
 荷物を子供達にぶつけないよう、そっと間をすり抜けて、ファイが見ていた方の人ごみに紛れる。
 男が耳打ちした言葉がレジーナのことを指してるのか気になって、本当は全速力で駆け抜けたかったが、騒がれたらもともこうもない。ファイがいるから平気だとは思うけれども。
(なんかもう、さんざんだ!)
 なんでこんなところにレジーナがきたがったのか本当に分からなかった。



「……俺の苦労を返してください」
「はぐれたのはお前の責任だろう」
 帰りの馬車の中、買ったものを満足げに見ているだけでレジーナは俺に一瞥もくれなかった。もう俺はうなだれるしかなかった。
 俺はあの後、祭りを楽しむ余裕もなく二人を探して回ったが、祭りが終わるまでに見つけられなかった。広場が騒動があったかのようにめちゃくちゃになっていたのもあり、かなり落胆して馬車のあるところに戻ってみれば、レジーナが馬車の前で仁王立ちして待ち構えていた。俺の心配は全く必要なかったのだ。
「しかし、もうあれは笑うしかなかった!あんな莫迦な奴らのおかげでここ数年で一番おかしかった祭りだった!」
 レジーナは思い出し笑いをしていた。俺は笑えない。
 ファイから聞いたのだが、銀剣がレジーナと思って捕まえたのは仮装をしていた貴族の娘だったとか。しかも捕まえた場所が広場で、その娘の父親の目の前だとかで。
 貴族はもちろん怒号。あわてた銀剣の一人がオブジェにぶつかって、そのオブジェは銀剣たちの頭に倒れてきた。
 銀剣の災難はまだまだ続く。今度はそのオブジェについていた提灯が頭に被さって、まるで提灯騎兵隊になったそうだ。しかもそれを面白がった子供達が持っていたお菓子で銀剣を「魂を食うランタンがきたぞー!」と攻撃。怒号していた貴族は「そうだ!もっとやれ!私と娘が味わった屈辱はこんなものじゃないぞ!」というものだから建前上なのか銀剣も抵抗できず、それを見ていた周りの大人は笑い転げて――って俺も見たかったぞ、ちくしょー!!
「まあ、そう拗ねるな。ほれ」
「?」
「今日付き合ってくれた褒美だ。ありがたく思え」
 そういうとレジーナは小さな箱を俺に手渡した。
 俺は呆気にとられてしまったが、レジーナはその反応を見ることなくファイの体に寄りかかって、数分もしないうちに寝息を立て始めてしまった。
 いつもわがままばかりの女王様だが、いつも銀剣だけでなく、多くの者に狙われてる存在だ。こんな祭りぐらいしか遊ぶところがないのは、いつも護衛についてるから百も承知なのに。
「……これだからレジーナ様は……」
 深いため息をつくと、ファイが仕方ないとでも言うかのように苦笑いした。
 来年は、俺、ちゃんと付き合いますからね。




「って、なんで褒美が犬用の猿轡なんですかぁぁぁぁーーー!!!!」

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