Happy Going
見た作品紹介や日々思ったことなどをつづった超不定期ブログ。時々小話(短い小説)も。管理者はオタクです、多分。

 

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【オリジ・習作】ある日の司書長と司書見習い【図書館】

頭の運動程度に習作。
なんか書いてないと、何も考えられなくなりそうなので。
多分、習作シリーズということで図書館シリーズというか(何
色んな“物語”が集まる図書館の世界。そんなイメージ。
イメージだけシリーズ?
とりあえず、いくつか書いたら世界観とかまとめたいですね。

「司書長!」
 パタパタと革靴の音を鳴らして走ってくるのは、ついこの間ここにやってきた司書見習いだった。
 知らないことを見つけては司書長、司書長と駆け寄ってくるのだが、司書長――アル=カイブはそれが微笑ましく思う。
 何せ前に新人が入ってきたのは、もう気が遠くなるようなほど昔の話だからだ。
 司書長は新しいものが好きだった。この図書館は常に新しい“物語”が次々と収められるからでもあるが、新しい何かが入ってくる時の風や加わる空気が好きだからだ。
「またどうしたんです?」
 だから、このひよこのような新人の質問に答えるのも好きなのだ。今まで自分では当たり前なものを、まるで珍しいものを見たかのように目を光らせる彼の反応、新しい空気の加わるのを直接感じられるから。
「閲覧禁止区域は、司書長しか入れないんですよね?」
「ええ、そうですが。やっぱり何があるか気になりますか?」
「はい!気になります!」
「君は本当に素直ですね」
 クスクスと司書長が笑うと、司書見習いはほんのり頬を紅潮させた。
 閲覧禁止区域は図書館の最奥部にある場所である。棚と棚の間にもう一つ棚が入るぐらいぽっかりと空いた真っ暗闇。その前に『コレより先、閲覧禁止区域』と書いてある紙が貼ってあるロープが垂れているだけで、見た目はとても厳重にとはいえない封鎖がされている。けれども、誰もそのロープから先には何故か行けない。司書長を除いては。
「あそこにはですね、“とても曖昧な物語”があるのです」
「曖昧な物語?」
「ええ。曖昧なんです。常に始めから終わりまでが変わってしまってもおかしくないぐらいに。だから、どの棚にも属さない、誰にも管理できないものなのです」
「……例えばどんな“物語”があるんですか?」
「おやおや、好奇心旺盛だね」
 またクスクスと司書長は笑うが、司書見習いは頬を膨らませて「からかわないでください」と小声で言った。
「いやいや、失敬。そうですね……例えば、“一人の魂から一つの世界を作ってしまった物語”とか」
「一つの魂で世界? 世界って、色んな生き物の魂がいっぱいあって作られるものじゃないんですか?」
「さあ、どうなんでしょう? 何せ本当に“とても曖昧な物語”なんで。流石の私にもきちんと説明することはできないのですよ。
 そもそも世界というそのものの定義の広さと言ったら、この図書館に収まりきるかどうか」
「……難しいです」
「ええ、とっても難しいことなのです」
「扱いに困りますね」
「そう。だから“閲覧禁止”なのですよ」
 司書長はにっこりと笑った。司書見習いは納得いったような、いかないような、なんとも曖昧な表情を浮かべた。
「ところで、受付の掃除は終わりましたかな?」
「あ、まだです!いってきます!」
 またパタパタと司書見習いは駆けていった。
 その駆けていく風を司書長は心地よく感じたのだろう。満足そうな笑みを浮かべ、一つ大きく深呼吸をした。

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